看護サービスを提供するための倫理的問題(個人的悩み)

 訪問看護師として訪問の仕事をするようになって、看護師としての倫理をどのように保ちながら業務を行えばいいのかと考える機会が度々あった。


 医師の指示の下でケアを提供することが看護師の役目であるが、その医師の指示内容をそのまま利用者(患者)に対して行うことが、自分の看護師としての倫理に反することがある。それは治療法であったり、コメディカルとの連携方法だったり患者家族への説明内容・方法であったりする。特に私が在宅医療で改善が必要だと感じるのは褥瘡ケアである。

 褥瘡には浸潤治療で、褥瘡パッドを使用していくのが私が信じる創傷治療である。私が練馬光が丘病院で働いていた時に褥瘡委員会でお世話になった夏井先生に教え込まれた治療法である。http://www.ampo.jp/movies/vol37

 ガーゼを傷に使用すると、寝たきり利用者(患者)にとっては貼付部位が特に擦れ、組織が削られ治癒とは反対の方向へ(肉芽や組織が削られる)向いていくと感じた。またさらにガーゼが剝がれなくするために紙テープや保護剤(テガダームやパーミロール等)を貼り付けることもあるが、それらは皮膚を刺激するため発赤などの炎症を引き起こし悪い時には表皮剥離につながってしまうときもあった。

 医師から看護師へ指示の伝え方が、紙による訪問看護指示書を介する故に指示を簡潔に伝えるために、薬剤+ガーゼ+テープとなっている可能性がある。浸潤治療を知らないと材料の作り方や説明の手間が増えるためだ。この医師との距離を縮めるためにも、医師からの一方通行ではないコミュニケーションが必要とされていると考える。


 次に、利用者(患者)との関わり内容について。在宅医療ではお宅に上がらせていただくので、生活者からすれば居心地のいい環境であるが、看護師の立場になると逃げられない密室になる。そのため今話題のセクハラ被害に遭う機会が増えてしまう。もちろん利用者(患者)の性格や精神疾患の有無に依存するところが多いが、女性が多い職場環境では大きな問題である。代わりに男性看護師が主にケアにあたるようにするが、利用者(患者)からのケアへの協力が得られなかったり暴言を浴びせるなどの態度で、良好な関係を築き上げることが困難であったりする。精神疾患であったら、専門的知識を持ち受容的な態度で接することができるが、性格や嫌がらせのような利用者(患者)のふるまいにはどう接すればいいのだろうか。包括医療センターなどの行政を絡めて、徐々に改善を図っていくしかないのだろう。


 最後に3つ目。「それって看護師の仕事なの?」問題。これはぜひ看護協会ニュースでも取り上げていただけないだろうか。バルーン交換は病院によっては医師がやる、ルート確保も同様、他にはフットケアの踏み込んだ治療、在宅で出会ったのは粉瘤処置、マッサージ、手が動かせないからたばこに火をつけるなど。。。これには答えを出すことが難しいことがある。日本における憲法の解釈方法のように看護師の業務内容のとらえ方で業務範囲に幅がうまれる。法律の条文を以下に示す。

 第一章第五条 看護師とは(略)傷病者またはじょく婦の療養上の世話又は診療の補助を行う

とされている。つまり、なんでもできるし医師の指示がなければ何もできないともいうことができる。高度な医療行為に対して、看護師は自信が無いのであればやるべきではない。研修に行って学ぶべきだ。しかし慣例で行っていないことや新しい治療内容について、

「それって看護師の仕事?」

と看護師の可能性を狭めないでほしい。思考を停止しないで、新しい知識をインプットして社会に還元できる可能性を広げてみてはどうだろうと伝えたい。

 逆に、在宅医療でのチームメンバーであるヘルパーや介護福祉士とも積極的に連携をとるべきだ。ヘルパーの時間では洗濯機を回して干すまでの時間はないだろう。だから洗濯機のスイッチを入れるくらい療養上の世話に含める裁量が看護師にあってもいいと思う。部屋が埃っぽければ環境整備で掃除機くらいかけるのも看護ではないか。


 文字だらけで魅力的な記事を書けていないことは自覚しているが、少しでも在宅医療を取り巻く看護師の悩みを社会に伝えたいと思うのである。しかし私のレベルが上がれば、こんな問題なんていつのまにか解決できるようになるのだろうか。来年の今頃はどう感じているか楽しみでもある。

なないろ訪問看護ステーション

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