酸素療法中の患者のアセスメント ①P/F値

 ICUで勤務していた時に、人工呼吸器で呼吸管理されていて呼吸状態に差がある患者たちの評価の方法を学ぶことができたので共有したいと思います。


 一回換気量が違ったり、吸気の酸素濃度(FiO2)が違ったりが当たり前なのだが、それをどう評価することができるか。その患者がどれだけ酸素を体に取り込む能力が低いのかを客観的に医者や申し送りで医療者同士で表現することができる。それが、P/F値。


 まずは簡単に計算式と基準値を、google検索でいらした医療従事者のために示します。

 基準値は350~400。異常値は200未満で、ARDSの診断基準にもなっています。


 では、FiO2ってどうやってわかるの?全員が人工呼吸器を装着している訳じゃないですね。呼吸機能が悪い人は、まず血ガス検査を行って、酸素を投与していいのか、アシドーシスになっていないか検査をします。その後に、酸素供給量が足りないと判断された人に対して、酸素マスクやカヌラによって酸素供給を開始します。そこで、酸素マスクやカヌラを使用すると、患者にどんな変化が起こるのか!?それは、吸気する空気の酸素濃度が上がると言うこと。
 酸素吸入方法と吸入量によってのFiO2の表が以下となります。Medtronicより引用。

(関連知識を少し入れると、カヌラの5L/分以上は鼻腔粘膜を乾燥させ、粘膜損傷に至るのでマスクに変更する必要があります。マスクの4L/分以下はマスク内に呼気が残留してしまうために効率的に酸素供給が行えません。リザーバーマスクには呼気弁があるので、内圧を高める為に6L/分以上でないといけません。)
 んじゃあPaO2は?となりましたら、Torrってなんだか気取った単位が出てきますね。でもこれって、圧力の単位でしかなくてmmHgと同義なんです。動脈血液ガスのデータであるので、血ガスを採ったら確認していきましょう。目標値は60Torr以上。大体SpO2に当てはめて評価するならプラス30すれば状態が把握しやすい。



 では、最後に計算してみましょう。


①80歳男性 間質性肺炎。緊急入院でリザーバーマスク8リットル/分、PaO2:70Torr(SpO2:100%)。
上の表で見ると、リザーバーで8リットルはFiO2が80%濃度の酸素を吸入している。

 P/F値:70÷0.8=87.5


 と、なります。数字ではなんだかわかりにくいですが、300以下ですね。

②3日後、受け持ちに行くと酸素量が減っていました。
酸素カヌラ3リットルで、PaO2:65(SpO2:95%)
 カヌラ3L/分だと、FiO2は32%。


P/F値:65÷0.32=203.1


 まだ300に至っていませんが、慢性呼吸器疾患なので目標は低めになります。
酸素を取り込む能力を数字でとらえることができると、患者の捉え方が全然違います。ぜひSOAP記録のObjective date の記録のところに記載してみてください。
他の看護師からの見る目が少し変わるかもしれません(笑)


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